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iDeCoとNISA、どちらを優先するか。iDeCoは掛金が所得控除になると聞く一方で、60歳まで引き出せない、手数料がかかるとも聞き、迷う人は多いと思います。
筆者は2023年頃から、個人でNISA(当時はつみたてNISA。2024年からは新NISA)とiDeCoを積み立てている会社員です。結論から書くと、筆者はNISAを優先し、iDeCoは月5,000円にしています。
この記事は、どちらが得かを決める記事ではありません。筆者がiDeCoを増やさない理由、それでも月5,000円を続けている理由、企業型DCからiDeCoへ移したときの記録を、公式サイトで確認した制度の数字(2026年10月2日確認)とあわせて残します。
結論:筆者はNISAを優先し、iDeCoは月5,000円
2026年10月時点の、筆者の毎月の積立は次のとおりです。
| 口座 | 商品 | 毎月の積立額 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 新NISA | オルカン(全世界株式) | 5万円 | 長期の資産形成 |
| 新NISA | S&P500 | 2.5万円 | 車の購入費用(2026年9月から) |
| iDeCo | オルカン(全世界株式) | 5,000円 | 長期の資産形成 |
S&P500は車の購入費用として目的を分けて積み立てているもので、長期の資産形成とは別枠です。
iDeCoを増やさない3つの理由
iDeCoそのものを否定する話ではありません。掛金の全額が所得控除の対象になり、運用益も非課税で再投資される制度です(iDeCo公式サイト)。そのうえで、筆者が月5,000円から増やしていない理由は3つあります。
理由1:受け取り時(出口戦略)に考えることが多い
1つ目は、受け取るときに考えないといけないことが多い点です。iDeCo公式サイトと国税庁の説明では、受け取りの段階だけでも次のような選択と条件があります。
- 受け取り方:一時金(退職所得控除の対象)、年金(5年以上20年以下の有期年金。公的年金等控除の対象)、両方の組み合わせ(取り扱う金融機関のみ)
- 受け取り始める時期:原則60歳から、75歳になるまでの間で選ぶ
- 退職金との間隔:iDeCoを一時金で先に受け取り、あとで退職金を受け取る場合、退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金があると、勤続期間の重なりを調整して退職所得控除を計算します。2026年1月1日以後に受け取る一時金からの扱いで、それまでは4年内でした
どの受け取り方が一番お得かは、退職金の有無や受け取る時期などによって人それぞれ違います。そのため筆者は、受け取り方を決めるには勉強や専門家への相談が必要だと考えています。
もう一つ、今出口戦略を考えていても、改正などで状況が変わる可能性があると考えています。上の「4年内→9年内」も、2026年から変わった扱いです。
理由2:手数料などの経費がNISAより多くかかる
2つ目は、手数料などの経費です。iDeCoには、加入するときと口座を持っている間に、制度として決まった手数料があります。
| 手数料の種類 | 金額(税込) | 支払先 |
|---|---|---|
| 加入時・資産の移換時(初回のみ) | 2,829円 | 国民年金基金連合会 |
| 掛金を納めるたび | 105円(2027年1月引落し分から月120円) | 国民年金基金連合会 |
| 口座の管理(毎月) | 66円(SBI証券の場合) | 事務委託先金融機関(SBI証券の場合は日本カストディ銀行) |
| 運営管理機関の手数料(毎月) | 金融機関により異なる(SBI証券は0円) | 運営管理機関 |
| 受け取りのたび | 440円(SBI証券の場合) | 事務委託先金融機関 |
筆者のiDeCoの口座もSBI証券です。SBI証券の場合、掛金が月5,000円でも、毎月の手数料は105円+66円の月171円です。手数料は掛金の額にかかわらず定額なので、掛金が少ないほど、掛金に対する手数料の割合は大きくなります。
NISAには、国民年金基金連合会や信託銀行に払うような制度上の手数料はなく、筆者が使っているSBI証券は口座開設の費用・口座管理料もかかりません(SBI証券のよくあるご質問)。投資信託の信託報酬は、どちらの口座でも商品ごとにかかります。
理由3:60歳まで取り出せない
3つ目は、60歳まで取り出せないので不便なことです。iDeCo公式サイトのよくあるご質問では、加入後は原則として60歳以降の受給年齢に到達するまで資産を引き出せない、とされています。例外の脱退一時金は、国民年金の保険料免除者になるなど、一定の要件をすべて満たした場合に限られます。
さらに、60歳から受け取るには、60歳になるまでの加入期間など(通算加入者等期間)が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受け取れる年齢が遅くなります。
一方、NISAで持っている商品は、資金が必要なときに一部を売って取り崩すことができます(金融庁)。筆者がiDeCoを少額にしているのは、NISAを優先したいことに加えて、資金の拘束を避けたいからです。
NISAとiDeCoの違い(2026年10月2日確認)
ここまでの内容を表にまとめます(出典は記事末)。
| 項目 | 新NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| お金を取り出せる時期 | 必要なときに売却して取り崩せる | 原則60歳以降(受け取り開始は75歳になるまでの間で選ぶ) |
| 投資できる上限 | 年360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)。生涯1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) | 企業年金がない会社員は月2.3万円。2026年12月分の掛金から月6.2万円(企業年金がある会社員は企業年金と合わせて6.2万円)に引き上げ予定 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象) |
| 運用中の利益 | 非課税 | 非課税 |
| 受け取り時の税金 | かからない | 一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象。控除を超えると課税される |
| 制度として決まった口座の手数料 | なし(証券会社の口座管理料は各社で確認) | 加入時2,829円、掛金を納めるたび105円(2027年1月引落し分から月120円)、事務委託先金融機関への手数料など |
| 筆者の積立額 | 月7.5万円(うち長期の資産形成はオルカン5万円。S&P500 2.5万円は車の購入費用) | 月5,000円(オルカン) |
補足として、会社員がiDeCoに加入するときの勤務先の証明書(事業主証明書)は、2024年12月から原則不要になりました(厚生労働省)。掛金を給与天引き(事業主払込)で納める場合は、引き続き事業主の確認・証明が必要です(iDeCo公式サイト)。
月5,000円でも続けている理由:やめても手数料はかかる

筆者がiDeCoを月5,000円でも続けているのは、積立をやめても毎月の管理手数料がかかるからです。掛金が所得控除の対象になることも、一応は理由のひとつです。
iDeCoは、やめると決めても口座を閉じてお金を受け取れるわけではありません。掛金を止めるには「加入者資格喪失届」を出して運用指図者になり、それまでの資産の運用だけを続ける形になります(iDeCo公式サイトのよくあるご質問)。
SBI証券の手数料表で、掛金を続ける場合と止める場合を比べると次のとおりです。
| 項目 | 掛金を続ける(加入者) | 掛金を止める(運用指図者) |
|---|---|---|
| 国民年金基金連合会 | 105円/回 | なし |
| 日本カストディ銀行(事務委託先) | 66円/月 | 66円/月 |
| SBI証券(運営管理機関) | 0円 | 0円 |
| 毎月の合計 | 171円 | 66円 |
| 手数料の引かれ方 | 掛金から差し引き | 資産から差し引き |
| 掛金の所得控除 | あり | なし(掛金を出さないため) |
| 60歳前の引き出し | 原則できない | 原則できない |
数字を見ると、掛金を止めても手数料はゼロになりません。SBI証券の場合、月66円(年792円)が資産から引かれ続けます。新しいお金が入らないまま手数料だけが引かれるので、運用で増えた分が手数料より少ない期間は、残高が少しずつ減っていきます。
なお、手数料の額だけを比べると、掛金を続けている間(月171円)のほうが、止めた場合(月66円)より多くかかります。続けている間は掛金が所得控除の対象になる点が、止めた場合との違いです。
2027年1月26日の口座引落し分からは連合会の手数料が月額120円になるため、SBI証券で掛金を続けている間の合計は月186円になる計算です(事務委託先の66円が今のままの場合)。見直しの対象は加入者の手数料です。
筆者の月5,000円を続けた場合のシミュレーション
筆者と同じ月5,000円の積立を、これまでの残高は含めず0円から、10年・20年・30年続けた場合を計算してみました。手数料は、2027年1月以降のSBI証券の場合の見込み(毎月186円=国民年金基金連合会120円+事務委託先66円)を、毎月の積立から差し引いています。利回りは仮の数字で、将来の成績を示すものではありません。

| 続けた年数 | 掛金の合計 | 手数料の合計 | 年3%と仮定 | 年5%と仮定 | 年7%と仮定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10年 | 60万円 | 約2.2万円 | 約67.4万円 | 約75.1万円 | 約83.8万円 |
| 20年 | 120万円 | 約4.5万円 | 約158.4万円 | 約198.7万円 | 約252.2万円 |
| 30年 | 180万円 | 約6.7万円 | 約281.2万円 | 約402.3万円 | 約590.7万円 |
※年3%・5%・7%は、毎月複利で増え続けると仮定した計算です。実際の値動きは年ごとに上下し、受け取る時点で掛金の合計を下回ることもあります。受け取り時の税金と手数料(受け取りのたび440円)、今後の手数料の改定は含みません。
手数料の合計は30年で約6.7万円で、掛金の合計の約3.7%にあたります(理由2のとおり、掛金が少ないほどこの割合は大きくなります)。
なお、掛金は所得控除の対象です。月5,000円(年6万円)の掛金で税金が軽くなる目安は、次のとおりです(所得税率+住民税10%で計算。復興特別所得税は含みません)。
| 所得税率 | 1年あたり | 10年 | 20年 | 30年 |
|---|---|---|---|---|
| 5% | 約9,000円 | 約9万円 | 約18万円 | 約27万円 |
| 10% | 約1.2万円 | 約12万円 | 約24万円 | 約36万円 |
| 20% | 約1.8万円 | 約18万円 | 約36万円 | 約54万円 |
| 23% | 約1.98万円 | 約19.8万円 | 約39.6万円 | 約59.4万円 |
※税率は人によって違い、同じ人でも年収が変われば変わります。受け取るときに税金がかかる場合、その分は差し引いていません。
企業型DCからiDeCoへの移行は大変だった
筆者は、退職後に企業型DC(企業型確定拠出年金)の資産をiDeCoへ移しました。正直に記録しておくと、この移行は大変でした。手続きが煩雑で、準備を含めると完了まで1〜2ヶ月。実際に手を動かしたのは、調べ物を含めて2日程度です。
対照的に、つみたてNISAから新NISAへの移行は自動で、苦労はありませんでした。
退職などで企業型DCの加入資格を失ったときの決まりは、iDeCo公式サイトでは次のように説明されています。
- 資格を失ってから6ヵ月以内にiDeCoなどへの移換の手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動移換される
- 自動移換されると資産は運用されず、手数料が資産から引かれる(自動移換時に3,300円+1,048円、4ヵ月後から月58円+月40円)
- 自動移換中の期間は、受け取りの条件になる通算加入者等期間に入らないため、受け取れる年齢が遅くなることがある
- iDeCoへ資産を移換するときは、国民年金基金連合会に2,829円がかかる
投資を始めた頃の経緯は、30歳から投資は遅い?20代後半に軽い気持ちで始めた30代会社員の実感にまとめています。
iDeCoを増やすとしたら:NISAの生涯の投資枠を埋められるようになってから
あえて挙げるなら、NISAの生涯の投資枠(1,800万円)を満額埋められる人がiDeCoを始めると、税制的に有利だと筆者は思います。
筆者自身も、NISAの生涯の投資枠を満額埋められるようになったら、今の月5,000円からiDeCoを増額する可能性はあります。ただし、必要以上の投資にならないように注意が必要だと考えています。
増額するときに関わる制度の決まりは、iDeCo公式サイトと厚生労働省では次のとおりです。
- 掛金は月5,000円から1,000円単位で決められ、変更は1年(12月分〜翌年11月分の掛金)に1回まで
- 2026年12月分(2027年1月引落し分)の掛金から、会社員の上限が月6.2万円(企業年金がある場合は企業年金と合わせて6.2万円)に引き上げられる予定
毎月いくらを積立に回すかの考え方は、新NISAの積立額の決め方|月いくら回す?投資3年目が実践する生活防衛資金と固定費の考え方にまとめています。
まとめ:受け取り方は人によって違い、制度も変わる
- 筆者はNISAを優先し、iDeCoは月5,000円(オルカン)にしている
- iDeCoを増やさない理由は3つ。受け取り時(出口戦略)に考えることが多い、手数料などの経費がNISAより多くかかる、60歳まで取り出せない
- 月5,000円でも続けているのは、やめても手数料がかかるから(掛金の所得控除も一応の理由)。SBI証券の場合、掛金を止めても月66円が資産から引かれる
- NISAの生涯の投資枠(1,800万円)を埋められるようになったら、iDeCoを増額する可能性はある。ただし必要以上の投資にならないように注意する
- iDeCoの受け取り方は、どれが一番お得か人によって違う。決めるには勉強や専門家への相談が必要で、今考えた出口戦略も改正などで変わる可能性がある、と筆者は考えている
制度は2026年12月(拠出限度額)と2027年1月(連合会の手数料)にも変わる予定で、この記事の数字は2026年10月2日時点のものです。NISAの始め方は、新NISAの始め方完全ガイド|初心者が最初にすべき5ステップにまとめています。
免責事項:本記事は筆者個人の判断と、公式サイトで確認した制度の内容を記録したもので、特定の金融商品や制度の利用をすすめるものではありません。投資には元本割れの可能性があります。iDeCoの受け取り方や税金の扱いは個人の状況によって異なります。記載は2026年10月2日時点の情報で、制度改正等により変わる場合があります。
参考資料(いずれも2026年10月2日確認)
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」
- iDeCo公式サイト「iDeCoのメリット」
- iDeCo公式サイト「よくあるご質問」
- iDeCo公式サイト「転職・退職された方へ」
- iDeCo公式サイト「事業主の方へ」
- 国民年金基金連合会「iDeCo加入者に係る手数料を見直します」(リーフレット)
- iDeCo公式サイト 運営管理機関一覧「SBI証券」(手数料体系)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」
- 厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(リーフレット)
- 厚生労働省「2020年の制度改正」
- 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
- 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」税制改正等の内容
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISAの活用事例」
- SBI証券「iDeCoのメリット・デメリット」
- SBI証券 よくあるご質問「口座開設にかかる費用や口座管理料は?」
