「オルカンとS&P500、結局どっちを買えばいいの?」
新NISAを始めようとすると、ほぼ全員がここでつまずきます。ネットを見れば「米国最強」「いや全世界が正解」と意見が割れていて、調べるほど決められなくなる。筆者も最初はそうでした。
先に筆者の立場を正直に書いておきます。筆者は証券会社の人間でも、投資の有資格者でもありません。自分のお金を実験台に、3年間オルカン(全世界株式)をコツコツ積み立ててきた、ただの一個人です。だからこの記事は「専門家の正解」ではなく、「3年間実際に握ってみた人間の本音」として読んでください。
そのうえで結論から言います。オルカンとS&P500は、どちらを選んでも大きな失敗にはなりません。 むしろ大事なのは「どっちを選ぶか」より「選んだあとに売らずに続けられるか」です。ここを最後まで読んでもらえると、迷いがかなり軽くなるはずです。
結論:どちらでもいい。ただ「未来を予測しない」筆者はオルカンを選んだ
身もフタもない話ですが、筆者の3年積み立てた結論は「好きな方でいい」です。
ただ、筆者自身はオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式・オール・カントリー)を選びました。理由はシンプルで、「これから10年20年、どの国が一番伸びるかを、筆者には当てられない」と思っているからです。
今は米国が圧倒的に強い。でも、20年前に「次はGAFAの時代だ」と確信を持って言えた人がどれだけいたでしょうか。30年前なら「日本が世界一」と言われていた時代すらありました。未来の勝ち国を当てにいく自信が筆者にはないので、「全部まとめて持っておく」オルカンが性格に合っていた、というだけの話です。
逆に「これからも米国が世界を引っ張る」と信じ切れる人なら、S&P500を選ぶのは何もおかしくありません。これは正解探しではなく、自分が納得して続けられる方を選ぶ問題だと思っています。
そもそも何が違う?「全世界」と「米国集中」
ざっくり言うと違いはこれだけです。
- S&P500:アメリカの代表的な大企業約500社にまとめて投資する
- オルカン:日本を含む先進国+新興国、世界中の株式約3,000銘柄に投資する
「世界中に分散するオルカンの方が安全そう」「米国だけのS&P500の方が攻めてそう」——イメージはそんな感じだと思います。筆者も最初はそう理解していました。
ところが、中身を見ると印象が変わります。
「中身の6割は米国」だから、値動きは似たものになりやすい
ここが今日いちばん知ってほしいポイントです。
オルカンは「全世界」と名乗っていますが、その中身の約6割は米国株です。 三菱UFJアセットマネジメントが公開しているeMAXIS Slim 全世界株式の月次レポートでは、米国の比率は約63%(2025年4月末時点)。残りを日本(約5%)、イギリス、カナダ、フランス…と世界中で分け合っている構成です。
つまりオルカンは「全世界に均等に賭けている」のではなく、実態は”米国6割+おまけで世界”に近い。だから、オルカンとS&P500の値動きは「まったく別物」ではなく、似たような動きになりやすいのです。米国市場が好調な日はオルカンも上がるし、米国が下げればオルカンも引っ張られます。
ここで「じゃあほぼ同じなら、どっちでもよくない?」と思った方——その感覚は正しいです。ただ、残り4割の存在が効いてくる場面もあります。米国が長く低迷した時期に、他の国がいくらか下支えしてくれる可能性がある。その「保険」を持っておきたいかどうかが、最後の分かれ目になります。
なお、配当重視のインデックスや高配当戦略との違いが気になる方は、インデックスと高配当の比較記事も合わせて読むと、自分の方針が整理しやすいと思います。
なぜ筆者は「米国一択」にしなかったのか
筆者が「米国一択」にしなかったのは、リターンを比べて有利な方を選んだからではありません。理由はただ一つ、「この先どの国が伸びるかを当てられない」という一点に尽きます。
そのうえで、3年間オルカンを積み立ててきた実感を、金額は伏せて割合だけ正直に書きます。オルカンを中心とした投資信託の部分は、評価益でプラス52.2%まで育ちました(運用期間 約3年)。
ただし、これは正直に言えば「たまたま相場が良かった3年間」の結果でもあります。同じペースで未来も伸びる保証はどこにもありません。それでも、世界中に分散したまま積立を止めずに放っておくだけでここまで育ったという事実は、筆者にとって「予測せず、全部まとめて持っておく」という方針を続けるだけの十分な後押しになっています。
金融庁も、長期・積立・分散という3つを組み合わせた投資が、価格変動のブレを抑えながら資産形成しやすいことを繰り返し啓発しています。筆者の3年は、その教科書どおりの形をなぞっただけ、とも言えます。
S&P500を手放して、100%オルカンに集約した理由
実は筆者、以前はオルカンとS&P500の両方を持っていました。でも今はS&P500を手放して、オルカン1本に集約しています。
理由は立派なものではありません。単純に「2本管理するのがめんどくさかった」からです。
中身が6割かぶっている2本を別々に持っていても、値動きはほぼ連動します。それなのに、見るたびに2つの損益を確認して、リバランスを考えて…という手間だけが増える。「だったら、似た値動きなら1本に寄せて、考える回数を減らした方が続く」と判断しました。筆者は家計でも食事でも”仕組みで楽をする”のが信条なので、投資もその延長です。
もしこれから1本に決めるなら、オルカンの積立設定をした時の実体験も参考になるはずです。設定さえ済ませれば、あとは自動で積み上がっていきます。
【一番伝えたい】含み益が出ても「利益確定」で売らないでほしい
ここからが、銘柄選びよりずっと大事な話です。
オルカンでもS&P500でも、しばらく続けると含み益が出てきます。口座の数字がプラスで膨らんでいくと、「今のうちに一度売って、利益を確定させたい」という気持ちが必ず湧いてきます。これは欲望ではなく、人間の本能みたいなものです。
でも、目的が老後資金なら、売らないでほしい。 これが筆者の心からのお願いです。
筆者はオルカンを「老後の自分への仕送り」として積み立てています。だから、よほどイレギュラーな事態(生活が立ち行かなくなる等)が起きない限り、売るつもりはありません。
「売らない」と同じくらい大事なのが「止めない」
売却と並んで積み立てを壊すのが、ニュースを見て手を止めることです。
「米国が利上げ」「円安が止まらない」——こうした見出しを見ると、つい「今月は積立を止めようか」と考えたくなります。筆者も何度もその場面に立ち会いました。
それでも積立日も金額も一度も変えませんでした。その結果が、約3年で評価損益率 +28%(金額は非公開)です。ニュースに反応して止めていたら、この積み上がりはありません。
経済ニュースは「知っておくと面白いもの」であって、積立の判断材料ではない——3年やってみて、これがはっきりしました。何があっても淡々と続ける。銘柄選びより、こちらのほうがずっと効きます。
正直に告白すると、筆者もまだ3年目の身でありながら、これまでに何度か「売りたい」と思った瞬間がありました。 相場が良くて含み益が膨らんだ時、ニュースが騒がしくて不安になった時。そのたびに手が動きそうになって、踏みとどまってきました。
そして今振り返ると、あの時に売っていたら、間違いなく後悔していたと思います。売った後も相場は伸び続けたからです。一度売ると、今度は「いつ買い戻すか」というもっと難しい問題に変わります。結局、握り続けた人が一番ラクで、一番報われやすい。筆者がS&P500の長期保有について書いた「握り続ける」記事とも、根っこは同じ話です。
利益確定が必要なのは、「使う予定が決まったお金」のときだけ。老後までずっと使わないお金なら、含み益はただの途中経過です。スクリーンショットを撮って一喜一憂する必要すらありません。
どっちを選ぶ?タイプ別のかんたんな選び方
最後に、迷っている人向けに筆者なりの選び方をまとめます。
- とにかく考えるのが面倒・1本で完結させたい人 → オルカン。中身に米国も世界も入っているので、これ1本で「世界まるごと」を持てます。筆者もこのタイプです。
- これからも米国が世界の中心だと信じ切れる人 → S&P500。シンプルで力強い選択です。
- どちらも甲乙つけがたい人 → どちらでもOK。ただし、オルカンとS&P500を”両方”買うのは慎重に。 オルカンの中身は6割が米国なので、両方持つと知らないうちに米国比率がさらに高くなり、「分散したつもりが米国に偏っていた」という状態になりがちです。
繰り返しますが、どちらも良い商品です。優劣で消耗するより、好みで決めて、さっさと積立設定して、あとは忘れるくらいがちょうどいいと思っています。
まとめ
- オルカンとS&P500は、どちらを選んでも大きな失敗にはなりにくい
- オルカンの中身は約6割が米国株(米国比率 約63%/2025年4月末時点)なので、値動きは似たものになりやすい
- 筆者は「未来の勝ち国を当てられない」から全世界(オルカン)を選んだ。米国を信じ切れるならS&P500でいい
- 筆者の3年実績では、オルカン中心の投資信託が+52.2%まで育った(ただし相場が良かった期間の結果で、未来の保証ではない)
- 2本管理が面倒で、今は100%オルカンに集約した
- 一番大事なのは銘柄選びより、含み益が出ても利益確定で売らないこと。老後資金なら握り続ける
- 考えるのが面倒なら、迷わずオルカン1本でいい
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の投資・金融商品を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談の上で行ってください。
参考資料
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(国・地域別構成比):https://emaxis.am.mufg.jp/fund/253425.html
- 金融庁「投資の基本(長期・積立・分散)」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html