「オルカン、最近ずっと最高値を更新しているけど、今から買って大丈夫?」 「高すぎる気がする。暴落が来たら高値掴みになるんじゃ…」
オルカン(全世界株式)を始めようとして、ここで足が止まる人はとても多いです。筆者も最初はまったく同じでした。
先に筆者の立場を正直に書いておきます。筆者は証券会社の人間でも、投資の有資格者でもありません。自分のお金を実験台に、3年間オルカンを積み立ててきた一個人です。だからこの記事は「専門家の正解」ではなく、「高値が怖いと思いながらも3年続けてみた人間の本音」として読んでください。
そのうえで結論から言います。「高い」と感じても、少額で“今すぐ”始めていい。 タイミングを当てにいくより、その方がずっとうまくいきやすい——これが筆者の3年の実感です。
結論:高いと感じても、少額で「今すぐ」始めていい
身もフタもない話ですが、「今が高いか・安いか」を正確に当てられる人はいません。プロでも当て続けられないものを、私たちが当てにいくのは無理があります。
だから筆者の答えはシンプルです。「待つ」より「少額で始めて、続ける」。最初から大きな金額を入れる必要はありません。月数千円でも、まず“始めて慣れる”ことのほうが、完璧なタイミングを探すよりはるかに価値があります。
「今は高いから待つ」が難しい理由
「もう少し下がってから買おう」——この作戦が難しいのは、下がったら下がったで「もっと下がるかも」と怖くなって、結局買えないからです。筆者の周りでも「待っていたら、待っている間にどんどん上がってしまった」という人が何人もいます。
筆者はオルカンを選んだ理由を「どの国が伸びるか当てられないから」と考えていますが、これは“時間”についても同じです。いつが底かも、いつが天井かも、当てられない。 だから筆者は、タイミングを計るのをやめました。
100年スパンで見た「資産の成績」
「でも今は高いから…」という不安に、もう少し長い時間軸で向き合ってみましょう。
ロンドン・ビジネススクールの研究者がまとめた「グローバル投資収益年鑑」(クレディ・スイス/UBS)は、世界35カ国の株式・債券・現金などのリターンを約120年(1900〜2022年)にわたって記録した、信頼性の高いデータです。それによると、物価上昇を差し引いた実質の年率リターンは次のようになっています。
| 資産 | 実質リターン(年率・約120年) |
|---|---|
| 世界株式 | 約 5.0% |
| 債券 | 約 1.7% |
| 現金(短期国債) | 約 0.4% |
| 金(ゴールド) | 株式・債券に長期では及ばず(インフレ対策の役割) |
出典:クレディ・スイス/UBS グローバル投資収益年鑑 2023
注目すべきは、株式が調査対象の35カ国すべてで、債券・現金・インフレを上回ったという点です。もちろん途中には世界大戦も、何度もの暴落もありました。それでも“長く持ち続けた人”は、報われてきたのです。
※これはあくまで過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。
投資とは「経済の成長に乗る」ということ
なぜ株式だけが、100年単位でこれほど伸びてきたのでしょうか。
筆者なりの理解はこうです。株式を持つとは、世界中の企業の“オーナーの一部”になること。企業は新しい商品を生み、人を雇い、利益を出して成長していきます。世界経済全体が長期では拡大してきたからこそ、その成長の分け前である株式も伸びてきました。
つまり投資をするということは、世界経済の成長に乗るということ。オルカンは「世界中の企業をまとめて少しずつ持つ」仕組みなので、特定の国や企業に賭けなくても、この“経済全体の成長”にそのまま乗ることができます。「今が高いかどうか」は短期の波の話で、乗るべきはその波ではなく、長期の大きな流れのほうだと筆者は考えています。
具体的にどの銘柄を選ぶかで迷っている方は、オルカンとS&P500どっちがいい?3年積立した筆者の結論も参考にしてみてください。
筆者も「高い・売りたい」と何度も思った
偉そうに書いていますが、筆者自身、何度も心が揺れました。
特に始めたての頃です。含み益が5万円出たときに「ここで売って利益を確定したい」と思い、10万円になったらまた売りたくなり、20万円でも同じ気持ちになりました。 数字が増えるほど、「今のうちに確定したい」という欲が強くなるのです。
そのたびに筆者がやったのは、「このお金は“今”本当に必要か?」と自分に問い直すことでした。答えはいつも「いいや、当面使わない」。だから、緊急時以外は手を出さないと決めて耐えました。
結果として、あのとき売らなくて本当によかったと思っています。「高いから売る/高いから買わない」という判断は、たいてい後から見ると早すぎるのです。暴落でも売らずに持ち続ける考え方は、「ゴリラ握力」で15年握り続けるNISA運用術に詳しくまとめています。
高値が怖いなら「少額・積立」で恐怖を小さくする
それでも「今が高値だったら怖い」という気持ちは、よくわかります。その不安は、金額を小さくすることでかなり和らげられます。
- 少額から始める:月数千円でもいい。まず“始めて値動きに慣れる”ことが目的
- 一括ではなく積立にする:毎月決まった額を自動で買えば、高いときは少なく・安いときは多く買えるので、買う時期が自然に分散される
- 生活防衛資金は別に確保:当面の生活費(筆者は生活費の半年分を目安に現金で確保)を別に置いておけば、暴落時に焦って売らずに済む
筆者自身、最初から月5万円を入れていたわけではありません。少額で始めて、値動きに慣れ、続けられる手応えを得てから、少しずつ金額を増やしていきました。新NISAの具体的な始め方は新NISAの始め方完全ガイド|初心者が最初にすべき5ステップにまとめています。
まとめ
- 「今が高いか安いか」は誰にも当てられない。タイミングを計るより少額で“今すぐ”始めるほうがうまくいきやすい
- 約120年のデータでは、世界株式の実質リターンは年率約5%で、債券(約1.7%)・現金(約0.4%)・金を長期で上回ってきた(※過去実績、将来の保証ではない)
- 投資とは世界経済の成長に乗ること。オルカンはその成長にまるごと乗れる仕組み
- 筆者も含み益が出るたび売りたくなったが、「今は使わないお金」と割り切って耐えた
- 高値が怖いなら、少額・積立・生活防衛資金の確保で恐怖は小さくできる
- 完璧なタイミングを待つより、始めて続けることのほうがずっと大切
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の投資・金融商品を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。実際の投資判断はご自身の責任のもと、必要に応じて専門家にご相談の上で行ってください。
参考資料
- クレディ・スイス/UBS「グローバル投資収益年鑑 2023(サマリー版)」:https://www.credit-suisse.com/media/assets/corporate/docs/about-us/research/publications/credit-suisse-global-investment-returns-yearbook-2023-summary-edition.pdf
- 金融庁「投資の基本(長期・積立・分散)」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html